マイクラMODメモ九条へいしの開発ノート
柱 2・ショートの作り方

マイクラのショート専用に「撮影用クライアント」を作った話

撮影用クライアントで撮った、夕暮れの草地に置かれた白いアンティークのランタン

この記事でわかること

  • 台本で動く「撮影役」でショートを撮るしくみ
  • 縦長で撮ると手が映らない理由と、横長で撮って切り出すやり方
  • 「見ていない面に置く」不自然さを、照準を合わせて置くことで消した方法
  • シェーダー(Iris+Complementary Reimagined)を撮影用だけに入れた理由

自分のチャンネルのショートは、ほとんどが「撮影用のマイクラ」で撮っています。人が操作するのではなく、台本に書いた順番どおりにキャラが動いて、カメラが回って、録画まで自動で進むしくみです。最初はほかの企画用に作った撮影のしくみを借りていましたが、「ラクガキ街の優雅な1日」というシリーズを始めたときに、ショート専用のものを作り直しました。この記事は、その作り直しの記録です。

もともとの撮影のしくみ

撮影用のしくみは、ざっくり言うと次の 3 つでできています。

台本は AI と一緒に書いていて、撮ってはコマを取り出して見る、を何度もくり返します。人の手で撮るより撮り直しが楽で、同じ角度・同じ時間帯で何本も撮れるのがいちばんの良さです。

「手で置いている感じがしない」問題

「優雅な1日」の 1 本目は、描いたランタンが本物になる話でした。最初の台本では、自分のキャラの肩ごしにカメラを置いて、腕を振りながらブロックを置いていく絵にしました。ところが、できた動画を見ると、どうしても「手で置いている感じ」がしません。そこで、自分の目線(一人称)で、ホットバーから直接ブロックを置いていく撮り方に変えました。

縦長で撮ると、手が画面の外に出る

ここで最初につまずいたのが、手が映らないことでした。ショートは縦長なので、撮影役の画面も縦長(596×1060)にして撮っていました。ところがマイクラの手は画面の右下に出るので、縦に細くすると、ちょうど画面の外にはみ出してしまいます。

縦長で撮った作る場面。手もホットバーも映っていない
縦長のまま撮った作る場面。手もホットバーも映らず、何をしているのかわかりにくい。
横長で撮った一人称の作る場面。下にホットバーが映っている
横長で撮り直した一人称の場面。下にホットバー、右下に持っているブロックが映る。

最初は、撮影のときだけ手を内側に寄せる小さな部品を作って、縦長のまま手を映そうとしました。でも、これは持ち方が普通と違って見えて、かえって不自然になりました。

最後に落ち着いたのは、ゲームは横長で撮って、縦の動画のまん中に置く形です。上下の空いたところはぼかした絵で埋めます。マイクラのショートでよく見る形ですが、手・照準・ホットバーがいつもの位置に出るので、見る人にとっていちばん自然でした。完成した後の外の場面だけは、今までどおり縦の全画面にしています。

録画に HUD が入っていなかった

横長にしても、最初の録画にはホットバーも手も入っていませんでした。調べると、もとの撮影のしくみは「撮るときは画面の表示(HUD)を消す」作りになっていて、撮影の始めに F1 を押していました。前の企画では表示がないほうがよかったからです。ここは、HUD を残すかどうかを台本ごとに選べるスイッチを足して直しました。

見ていない面にブロックを置いていた

一人称で撮れるようになったあと、もう一度見直して「明らかに不自然」だと感じました。原因は、マイクラの置き方の決まりを守っていなかったことです。

ふつうにブロックを置くときは、すでにあるブロックの「見えている面」を右クリックします。ところが台本の撮影役は、置きたい場所にいきなりブロックを出していたので、ブロックの裏側や、何もない空中に置いているように見える場面がありました。遊んでいる人なら、一瞬で「おかしい」とわかります。

直したこと
  • 置くたびに、照準(画面のまん中の十字)を、となりのブロックの見えている面に合わせてから置く
  • 床の上を横に歩きながら台を並べる・屋根の上に乗って飾りをのせる、のように、人がやる順番で置く
  • 置く音は、実際に置いた瞬間に合わせて鳴らす

直した版では、置いた 22 個のうち、見えていない面に置いたものは 0 個でした。撮るたびに記録を見て「ずれ」を数えるようにしたので、そのあとの回でもずれは 0 のままです。

もう 1 つ、最初は作る場面を早送りにしていました。でも早送りだと、せかせかして「優雅」には見えません。結局、作り始め(いちばん下の台を 1 個ずつ置く)と仕上げ(金の飾りをはめて、ペンで線を描く)だけを、ふつうの速さで見せることにしました。

撮影用のクライアントを分けた理由

絵をきれいにしたくて、シェーダーを入れることにしました。ところが、それまで使っていた撮影役のクライアントは、別の企画の開発用のものでした。そこにシェーダーを入れると、その企画の撮影にもシェーダーがかかってしまいます。

そこで、録画のしくみだけを写して、ラクガキ街に要らない部分を外したショート専用の撮影用クライアントを作りました。シェーダーはこのクライアントにだけ入っています。

シェーダーなしで撮った夕暮れのランタン
前のクライアント(シェーダーなし)で撮ったランタン。空はきれいだが、地面とランタンが平たい。
シェーダーありで撮った夕暮れのランタン
新しい撮影用クライアント(シェーダーあり)。ランタンの光がにじみ、影と奥行きが出た。

シェーダーを入れると重くなるので、カクつきが心配でした。最初に数えたときは「1 秒 30 コマのうち 25 コマくらいしか描けていない」と思ったのですが、数え方が厳しすぎただけで、数え直すと 1 秒 30 コマのほとんどがちゃんと別の絵でした。画面の大きさは 1884×1060 のままにしています。

地味だけど効いた小さな直し

撮影用クライアントを作り直すついでに、毎回の撮影で手間だったところも直しました。

困ったこと直し方
撮影は 3 分ほどで終わるのに、ゲームが閉じないので「終わった」とわからず、ずっと待っていた撮り終えたら撮影用クライアントが自分で閉じるようにした
サーバーのリソースパックの確認画面が出たままで、画面がぼけていた台本のいちばん最初でこの画面を閉じる
外に置いたランタンが 1 ブロックしかなく、画面の中で小さい外の場面のカメラを 1.5 ブロックくらいまで近づけ、ランタンが画面の 1/3〜1/2 になるようにした
作った「コトッ」という音が、どこか作り物っぽい作る場面はゲームの本物の音(置く音・足音)にした
アトリエの中で完成した白いランタンを撮影役が眺める場面
アトリエで完成したランタン。ここから家具として保存して、外に置きに行く。

ちなみに、自分のスキン(Kujo_Hey4)を使うようにしたのに、一人称の場面ではスキンがどこにも映りません。マイクラは何かを手に持っていると腕を出さずに持ち物だけを映すからで、これは不具合ではありませんでした。

できあがった #1 と、やってみてわかったこと

優雅な1日 #1 夜のランタンのサムネイル
「ラクガキ街の優雅な1日 #1 夜のランタン」のサムネ。動画と同じ明朝体で文字を入れた。

こうしてできたのが「優雅な1日 #1 夜のランタン」です。撮影用クライアントを分けたことで、シェーダー・HUD・カメラの決まりを、ショートのためだけに変えられるようになりました。

やってみてわかったのは、自動で撮るほど「人がやる順番」を守らないと、すぐに嘘っぽく見えるということです。置く面、置く音、歩く速さ。どれも遊んでいる人は無意識に知っているので、1 つずれるだけで気になります。逆に、そこさえ守れば、台本で撮っても「手で作っている」ように見えました。

このあと撮影の本数が増えて、撮影用サーバーが 1 台では足りなくなりました。その話は 撮影レーンを 2 本にして、コマ一覧で破綻チェックする に書いています。#1 のあとで作り方を大きく変えた理由は 「優雅な1日」の作り方 にまとめました。

この記事は、九条へいしが自分のサーバー「ラクガキ街」と撮影用サーバーで実際に試したことをもとに書いています。気づいたことや間違いは お問い合わせ から教えてください。