撮影レーンを 2 本にして、ショートを「コマ一覧」で破綻チェックする

この記事でわかること
- 撮影用サーバーを 2 台にしたときの、ポートとワールドの写し方の注意
- 2 本同時にシェーダーで撮るとカクつく(1 秒あたり約 27 枚→約 21 枚)
- 1 本ごとに「コマ一覧」を作って見る、チェック項目の中身
- コマ一覧で実際に見つかった失敗と、その直し方
ショートを毎日 2 本出すと決めてから、いちばんの詰まりは「撮影用サーバーが 1 台しかないこと」でした。1 本撮るのに数分、撮り直しが入るとその何倍もかかります。その間、次の回は待つしかありません。そこで撮影の通り道(レーン)を 2 本に増やしました。もう 1 つ、本数が増えると見落としも増えるので、できた動画を必ずコマに並べて見る「破綻チェック」を決まりにしました。この記事はその 2 つの話です。
撮影のしくみそのものは ショート専用に「撮影用クライアント」を作った話 に書いています。
2 本目のレーンをどう作ったか
1 本目のレーンは「撮影用サーバー」と「撮影用クライアント」の 1 組です。2 本目も同じ 1 組を、まるごと写して作りました。
| 1 本目 | 2 本目 | |
|---|---|---|
| サーバー | ポート 25582 | ポート 25592(コマンド用 25593) |
| 釣りの絵を配るポート | 25587 | 25594 |
| クライアント | filmclient | filmlane2(撮影役の名前も別) |
| 台本 | 同じものを共有(直せば両方に効く) | |
| MOD・シェーダー・設定 | 写して、別々に持つ | |
気をつけたのは次の 3 つです。
- ポートをぶつけない:本番のサーバーや、ふだん別の企画で使っているサーバーのポートを避けて、使う前に空いていることを確かめました。
- 相手のレーンのゲームを閉じない:撮影の前に「古い撮影用ゲームを閉じる」処理があります。2 本目の処理は 2 本目のゲームだけを閉じるようにしました。うっかり 1 本目の撮影中のゲームを閉じたら、その撮影が全部むだになります。
- 本番のセーブの手順を変えない:撮影のたびに本番のワールドを写します。1 本目は本番に「いったん保存を止めて、全部保存して、また動かす」とお願いしていますが、2 本目まで同じことをすると手順がぶつかります。2 本目は「全部保存して」と 1 回頼むだけにしました。そのかわり、写している途中に本番が自動保存すると、ワールドの一部が少し古くなることがまれにあります。そのときは撮り直します。
同時に撮ると、片方がカクつく

試しに、1 本目が撮影している間に 2 本目でも撮りました。2 本とも最後まで撮れて、シェーダーも効いていました。ただ、なめらかさに差が出ました。
- 2 本目:10 秒のあいだのコマが 300 枚中 299〜300 枚、ちゃんと別の絵でした。
- 1 本目:2 本目と重なった時間の動く場面で、1 秒あたりの別の絵が約 21 枚。重なっていないときは約 27〜28 枚でした。
シェーダーは重いので、2 本のゲームが同時に描くと、片方に負担が寄るようです。そこで、見せ場のカット(ポンと出る・座る・ドアが開く)は片方のレーンだけで撮るか、もう片方が準備(アトリエで描く・保存する)をしている時間に重ねるようにしました。それでもカクついたときは、編集で「同じ絵が続くコマを抜いて前後をまぜる」処理を入れて、1 秒 28〜30 枚まで戻しています。
なぜ「コマ一覧」で見るのか
動画は、ふつうに再生して見ると意外と見落とします。15 秒の動画でも、目は動いている主役を追うので、すみの小さな違和感に気づきません。しかも、こちらは何度も見ているので「こういうものだ」と思いこんでしまいます。
そこで、書き出した動画から 1 秒ごと(最初の 0〜2 秒は 0.25 秒ごと) にコマを取り出して、1 枚の画像に並べることにしました。止まった絵を並べると、体の埋まり方、字のかぶり、背景の小さなモブまで、落ち着いて見られます。

見る項目は 1 枚のメモにまとめて、毎回すべて確かめます。
| 分け方 | 見ること |
|---|---|
| 形・大きさ | 家具がひと目でそれとわかるか(ケーキ・ボール・かたまりに見えない)/前の家具の残り・浮いたブロックがないか/人に対して大きさ・高さが合っているか |
| 人 | 座る・寝るで埋まる・浮く・前に座りすぎていないか/体がはみ出したりめりこんだりしていないか/人で主役が隠れていないか |
| 画面 | 字に人や物がかかっていないか・スマホで読めるか/紫と黒のマス、確認画面やメニューが映っていないか/ハチなどの生き物が横切っていないか/暗すぎ・まぶしすぎ・カクつき/最後のカットが 0 秒目の絵につながるか |
| 音 | チャイムのような「きらーん」やペンのキラキラ音が入っていないか/大きすぎ・小さすぎる所がないか |
コマ一覧で見つかった失敗
このチェックを始めてから、実際に見つかったものをいくつか挙げます。どれも、ふつうに再生しただけでは気づかなかったものです。
前の椅子の「上の部分」が、次の椅子に残る
椅子を 5 つ並べてくらべる回で、3 つ目のカフェの椅子の背もたれのてっぺんが、4 つ目・5 つ目の椅子にも浮いて残っていました。原因は台本の側でした。カフェの椅子は 17 段、玉座は 19 段あって、描くところ(キャンバス)の 16 段からはみ出していました。次の椅子を描く前の片付けはキャンバスの高さまでしか消していなかったので、はみ出た分が残ったのです。設計を 16 段以内に収め、片付けも上へ 8 段多めに消すようにしました。
ドアが草原にぽつんと立っている
ドアを 5 つくらべる回では、ドアが草原に 1 枚ずつ立っているだけでした。これだと開けても向こうも草原なので、板が横を向いて細い棒になるだけで、「ドアが開いた」ように見えません。

そこで、ドアごとに合う壁(幅 3・高さ 3)を作ってはめこみました。英国の赤い玄関はレンガ、和の障子戸はしっくいと木の柱、お城の門は石レンガ、秘密の本棚ドアは本棚、魔女のドアは苔むした丸石です。ななめ前から撮ると、閉じたドアがパッと開いて、向こうの庭が見えるようになりました。

このあとも、赤い玄関が開くカットで、レンガの壁に撮影役の影が映っているのが見つかりました。開くカットのあいだだけ撮影役を見えなくして消しています。
座ると、クッションが見えなくなる

椅子の回と同じように「寄る → 座る」の順で撮ったら、クッションは高さが 0.5 ブロックほどしかないので、座ると人の下に隠れてほとんど見えませんでした。くらべたいのはクッションなので、この回は座るカットをやめて、寄るカットだけにしました。主役が画面の 4〜6 割になるよう、案ごとにカメラの位置も決め直しています。
小さいけれど気になるもの

- ハチがカメラの前を横切る:庭の場面の前に、近くのハチを消すようにした。
- リソースパックの確認画面:釣りの絵を配る確認画面が絵をふさいでいた。台本の最初で閉じる。
- きらーんという音:家具がポンと出るときのチャイムと、ペンのキラキラ音が「優雅」に合わなかった。両方やめて、やわらかい「ポン」と、描く「シャッシャッ」だけにした。
- 背景のモブ:左の画像のスケルトン。小さいので出した回はそのままにして、次の撮影からモブを出さないようにした。
チェックを決まりにしてわかったこと
コマ一覧で見るようになってから、出してから気づく失敗はかなり減りました。とくに「前の家具の残り」や「影」は、形を作っている途中では絶対に気づけない種類の失敗です。
ただ、それでも人の目にはかないません。椅子に座る高さを直したあと、コマ一覧では問題ないと判断したのに、自分で見ると「まだ体が埋まって見える」ことがありました。太ももが座面の前のふちに隠れていたのが原因で、座る高さの下げすぎでした(くわしくは 家具に座ると埋まる・浮く話)。チェック項目は「見落としを減らす道具」で、最後は自分の目で見る、という順番は変えないことにしています。
直す前の画像は名前の最後に「前の版」と付けて残しています。あとで見返すと、どこで何に気づいたかがすぐわかるので、次のシリーズを作るときの材料になります。